鍼灸師になるには?この1年ですべき国家試験対策や就職活動をまるごと解説
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鍼灸師を目指している学生にとって、専門学生なら3年生、大学生なら4年生となる最終学年は、国家試験の合格、そして就職に向けた重要な1年となります。この記事では、資格の取得や就職に向けて最後の1年間ですべきことを、まとめてしっかり解説していきます。

鍼灸師とはそもそもどんな職業?

最初に鍼灸師という資格・職業について、あらためて振り返っておきます。鍼灸師とは、「はり師」と「きゅう師」の両方の国家資格を取得した人のことを指します。

はり師もきゅう師も、全身のツボに刺激を与えることで治療を行うという点では共通しています。そのため、求められる技術も共通点が多く、ほとんどの人が両方の資格を取得して、鍼灸師として働くことを目指しています。

鍼灸師の仕事内容は、大きく4つに分類されます。美をケアするための「美容鍼灸」、女性特有の症状の回復に努める「婦人鍼灸」、アスリートのケガの予防などのための「スポーツ鍼灸」、高齢者向けの「高齢者鍼灸」です。

就職先としては、鍼灸院や介護・福祉施設、医療施設、エステサロン、スポーツ施設などがあり、就職先によってどの仕事内容が中心になるかは変わってきます。

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鍼灸師になるための2つのルート

鍼灸師になることを目指す場合、2つのルートがあります。

鍼灸師になるためのルート1:専門学校に進学 → はり師・きゅう師の国家試験に合格 → 鍼灸師

1つめは、高校卒業後もしくは社会人から、はり師・きゅう師の養成課程がある3年制以上の専門学校に入学して、はり師・きゅう師両方の国家試験に合格し、鍼灸師として働くルートです。鍼灸師を目指すとき、最も一般的なルートであると言えます。

鍼灸師になるためのルート2:大学(4年制)に進学 → はり師・きゅう師の国家試験に合格 → 鍼灸師

2つめは、高校卒業後もしくは社会人から、鍼灸学科や鍼灸コースなどがある4年制の大学に入学してはり師・きゅう師両方の国家試験に合格し、鍼灸師として働くルートです。

はり師・きゅう師の国家試験を受験するには、文科省に認定された学校の卒業見込証明書の提出が必要なため、専門学校と異なり、4年の期間を必要となります。大学ですから、鍼灸に限らず、幅広く学ぶことができる点もメリットと言えます。

内定・就職に向けての2つのスケジューリング

最終学年を迎え、来年の国家試験を目指す学生にとって、この1年の受験対策、そして就職活動は大きな課題と言えるでしょう。はり師ときゅう師の国家試験に合格し、就職するまでの1年間のスケジューリングを解説しましょう。

スケジューリングは大きく2つに分類できます。「国家試験に合格する前に就職活動を行うスケジューリング」と「国家試験に合格してから就職活動を行うスケジューリング」です。

国家試験に合格する前に就職活動をして内定をもらうほうが、就職活動の期間を長くすることができるのでいい就職先を見つけやすいといえます。ただし、国家試験の勉強などを並行して行う必要があるため、夏から秋ごろは忙しくなります。

一方、国家試験に合格してから就職活動を行う場合、試験に向けた対策に十分な時間をかけることができますが、国家試験合格後のわずかな期間で就職活動を終えなければならないため、条件のいい就職先が見つかりにくいかもしれません。

具体的に2つのスケジューリングとプロセスを説明していきましょう。

国家試験に合格する前に就職活動を行うスケジューリング

「国家試験に合格する前に就職活動を行うスケジューリング」は以下の通りです。

・4月:最終学年に進級
いよいよ就職前の最終学年が始まります。3年制の専門学校なら3年生、4年制の大学なら4年生に進級します。希望する就職先のイメージや条件などを整理し、履歴書などの書類を準備する時期となります。

就職活動においては、第一志望の内定を獲得した先輩に聞くと「自分の学びたいことを学べる企業を探すのはたいへん」との声もありました(ケイズグループ入社者)。友人や先輩の「口コミがいちばんわかりやすかった」という声も聞かれます。書類の準備や求人票の研究だけでなく、幅広く情報収集を行う必要があるといえるでしょう。

・7~11月頃:就職活動 → 内定獲得
7~11月の夏から秋頃にかけて就職活動を行い、国家試験を受験する前に内定を獲得してしまいます。あわせて、国家試験対策の勉強も始めます。

・9~11月頃:卒業見込者に対する実技評価審査
9~11月頃には、学校内で卒業見込み者に対する実技評価審査が行われます。国家資格試験は学科試験のみであり、実技の評価は各学校で実施されます。はり師、きゅう師それぞれに審査を受けることが一般的です。

実技評価審査に合格後、卒業認定試験を受験します。卒業認定試験に合格し、卒業見込証明書を取得すれば、国家試験へ受験資格を得ることができます。

・12月:国家試験の受験手続き
12月に国家試験の受験に必要な書類を提出し、受験手続きを終えます。例年12月1日から2週間程度が手続きの申込期間となります。受験願書や写真台紙、入力票、卒業見込証明書など、提出すべき書類も多いので、確実に準備する必要があります。受験手数料を規定どおり支払って手続きは完了となります。

・2月下旬:国家試験の受験
2月下旬に筆記形式による国家試験を受験します。鍼灸師を目指す場合は、「はり師」と「きゅう師」の国家試験を同時に受験します。

・3月下旬:国家試験の合格発表
3月下旬に国家試験の合格発表が行われます。残念ながら国家試験で不合格となってしまった場合は、内定先へ不合格になってしまったこととお詫びを伝え、善後策を相談します。

・4月:就職
晴れて国家試験に合格した場合、内定先で4月から就業を開始することになります。

国家試験に合格してから就職活動を行うスケジューリング

「国家試験に合格してから就職活動を行うスケジューリング」は以下の通りです。

・4月:最終学年に進級
4月に3年制の専門学校や短大なら3年生、4年制の大学なら4年生に進級します。まずは試験対策に集中しますが、あわせて希望する就職先のイメージや条件などを整理しておくことも重要です。

・6~9月頃:国家試験および実技評価審査の準備
9月-11月まで、はり師、きゅう師としての実技評価審査があり、卒業認定試験が控えています。これらに合格しないと、国家試験への受験申込ができませんので、万全な対策を行います。続く来年2月の国家試験対策と合わせて、始めていきます。

・9~11月頃:卒業見込者に対する実技評価審査
9~11月頃には、学校内で卒業見込み者に対する実技評価審査が行われます。国家資格試験は学科試験のみであり、実技の評価は各学校で実施されます。はり師、きゅう師それぞれに審査を受けることが一般的です。

実技評価審査に合格後、卒業認定試験を受験します。卒業認定試験に合格し、卒業見込証明書を取得すれば、国家試験へ受験資格を得ることができます。

・12月:国家試験の受験手続き
12月に国家試験の受験に必要な書類を提出し、受験手続きを終えます。例年12月1日から2週間程度が手続きの申込期間となります。受験願書や写真台紙、入力票、卒業見込証明書など、提出すべき書類も多いので、確実に準備する必要があります。受験手数料を規定どおり支払って手続きは完了となります。

・2月下旬:国家試験の受験→就職活動の準備
2月下旬に筆記形式による国家試験を受験します。鍼灸師を目指す場合は、「はり師」と「きゅう師」の国家試験を同時に受験します。受験が終わったら、すぐに履歴書の準備や応募できる求人票の精査など、就職活動の準備を仕上げていきます。すでに内定を得ている友人や卒業生に話を聞いて、志望先の実際についての情報収集も行っておきましょう。

・3月下旬~4月:国家試験の合格発表→就職活動開始→内定獲得
3月下旬に国家試験の合格発表が行われます。国家試験に合格後、就職活動をスタートします。

・4~5月:就職
就職活動をして内定を得られたら、4月以降に就業を開始することになります。内定が4月中下旬となった場合、入社手続きなどの都合から5月からの就業となるケースもあります。

実技評価審査・国家試験・就職活動、各段階のポイント

ここまで、鍼灸師を目指す学生の最終学年となる1年の動きを解説してきました。国家試験への合格だけでなく、実技評価審査や卒業認定試験、そして志望先への就職活動と、クリアしなければならない課題がたくさんあることが確認できたと思います。

ここからは「実技評価審査」と「国家試験」、さらには「就職活動」におけるポイントをそれぞれ解説していきます。これらのすべてのステップをクリアしなければ、学校卒業後にすぐ鍼灸師として働き始めることはできません。

実技評価審査におけるポイントは?

鍼灸師になるための実技審査は国家試験では免除されていますが、代わりに各学校で実施されます。審査は第三者機関である「はりきゅう実技評価委員会」の派遣する評価者によって、統一した基準で行われるのが一般的です。

ちなみに実技評価審査は100点満点で評価され、60点に満たなかった人や評価項目で「不可」がついた人、実技評価審査を欠席した人に対しては、追・再試験が実施されることになっています。

実技評価審査においては、はり実技評価ときゅう実技評価でそれぞれ「統一課題」が用意されており、個別に評価されます。たとえば2018年度の統一課題は以下のとおりでした。

▽はり実技試験 統一課題
ステンレス鍼(セイリンJタイプ40mm16号鍼)を使用し、8分以内に下記の部位に指示された方向、深さに刺鍼して下さい。
(1)腎兪穴付近:皮膚面に対し 90°で10mm刺入
(2)承山穴付近:足部に鍼先を向け、皮膚面に対し45°で10mm刺入

試験時間8分は、患者役への指示、準備、消毒、施術、抜鍼、後処理をすべて含むもので、「2穴の刺入終了後に深度と角度を評価」するとしています。

▽きゅう実技試験 統一課題
下記の課題経穴へ半米粒大の透熱灸を左右交互に合計10壮連続施灸して下さい。施灸時間は3分間です。
・失民穴

制限時間は、合計で8分とされており、患者への指示、こより作成、線香等の準備、3分間施灸、後処理を含めて審査されます。また「灸点紙は使用しない)とされています。

出典:公益社団法人東洋療法学校協会 はき実技評価委員会 実施要領(PDF)より編集部抜粋

この実技評価審査は「養成施設に要求される基本的な臨床能力、卒前に必要とされる最低限の鍼灸技術」を評価するものとされています。ですから、試験対策としては、これまで学校で学んだことをしっかりと復習しておくことが求められます。

実際に実技評価審査を受けた先輩によれば「手汗がすごくなり、また、手が震えてしまって、いつもどおりにできない瞬間がありました」というくらい緊張するようです。緊張しないためにはひたすら練習が必要で、対策として「学校の模擬演習に臨むのがよい」とのアドバイスもいただいています。

ちなみに試験では鍼灸のスキルだけではなく、身だしなみや態度、立ち振る舞い、言葉遣い、消毒動作、後処理などの評価も行われます。

国家試験におけるポイントは?

はり師ときゅう師の国家試験は、それぞれ筆記形式で行われ、同時受験する場合は「はり理論」と「きゅう理論」以外の共通科目は免除されます。両方の試験における共通科目は以下のとおりです。

▽はり師、きゅう師国家試験の共通科目
・医療概論(医学史を除く)
・衛生学・公衆衛生学
・関係法規
・解剖学
・生理学
・病理学概論
・臨床医学総論
・臨床医学各論
・リハビリテーション医学
・東洋医学概論
・経絡経穴概論
・東洋医学臨床論

試験対策としては当然、これまで学校で学んだことをしっかりと復習しておく必要があります。また、試験対策本が書店などで販売されているので、上手に活用したいところです。

また、国家試験を実施している公益財団法人「東洋療法研修試験財団」が過去問題を公式ホームページで公開していますので、過去4~5年分は解いておくようにしましょう。国家試験前に実施されている模擬試験も受け、苦手分野の把握・克服に努めることも重要です。

参考:公益財団法人 東洋療法研修試験財団 過去の国家試験問題等

はり師ときゅう師の国家試験の合格率は、2019年度ははり師試験が73.6%、きゅう師試験が74.3%で、例年ほぼ70~80%台で推移しています。

就職活動におけるポイントは?

鍼灸師として就職活動を行うときは、実技評価審査や国家試験とは異なり、はりときゅうの知識や実技スキル以外の部分も重要になります。

鍼灸師は、患者と接しながら治療を行っていく職業です。そのため、元気や表情のよさ、前向きさ、謙虚さなどの施術姿勢と、言葉遣いや痛みへの気遣い、施術内容を伝えるコミュニケーション能力なども求められます。面接に臨む際は、こうした点をしっかり意識するほうが良い結果に結びつきやすいでしょう。

また、初任給の金額や福利厚生の内容などはもちろんですが、就職先がどのような雰囲気なのかも事前にリサーチし、なるべく自分に合った施設などに応募先を絞っていきたいところです。卒業生などから評判を聞くなどして、なるべく多くの情報を集めましょう。

早期に就職活動を始め、ライバルとの「競争」に勝ち抜こう

この記事では、鍼灸師として働く前の最後の1年間ですべきことを包括的に解説してきました。国家試験に合格することは鍼灸師になるための最低条件ですが、より良い条件の就職先から内定をもらうためには、早い時期に就職活動を始めるのが得策です。

時間が経つにつれ、良い条件の求人案件は少なくなっていきます。就職活動は、同じように鍼灸師として働くことを目指すライバルたちとの競争であることを忘れてはなりません。

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