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鍼灸師は、はり師ときゅう師の国家資格取得者であり、鍼灸治療のスペシャリストです。

鍼灸師としての就職先は、鍼灸院やリハビリ施設など幅広く、将来的には独立も可能です。

ここでは、鍼灸師として就労するために必要なスキル、鍼灸師の求人票のチェックポイントや有効求人倍率等について解説します。

鍼灸師の就職活動を開始する時期は?

鍼灸師の就職活動時期は、国家資格であるはり師、きゅう師の資格を取得する前である、卒業年度の前年の夏に活動するか、または資格取得後に活動するかで異なります。はり師やきゅう師の資格試験は、毎年2月下旬に開催され、合格発表は3月下旬です。

鍼灸師の有効求人倍率の全国平均は「1.27」と、決して求人が潤沢にある訳ではありません。資格取得を優先しすぎると、先行して動いている応募者に先に求人を取られてしまいます。

鍼灸師の資格試験対策も大事ですが、資格未取得でも受験資格があれば選考を行っている会社もあります。求人情報は早めに確認しておき、いくつかの応募候補を準備しておきましょう。

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鍼灸師に就職するには?

鍼灸師として就労するためには、はり師やきゅう師の国家資格の取得が必要です。2020年2月に開催された『第28回はり師及びきゅう師国家試験』の、それぞれの合格率は以下のとおりです。

▽第28回はり師及びきゅう師国家試験の合格率
・はり師:73.6%(受験者数:4,431名、合格者:3,263名)
・きゅう師:74.3%(受験者数:4,308名、合格者:3,201名)

鍼灸師として働くために求められるスキル

鍼灸師の採用試験では、まだほとんど経験がない施術スキルよりも、以下のようなコミュニケーションに関連するスキルが特に重視されます。

  • ・傾聴力:患者がどういった状態か真摯に受け止める力
  • ・観察力:施術中の患者のちょっとした反応などを観察する力
  • ・説明力:患者への施術内容や治療方針を分かりやすく説明する力

鍼灸師は、患者に寄り添いながら治療を行うことが求められるため、これらの「人と接する基本的な姿勢」が特に重視されます。

未経験でも就職できるのか?

鍼灸師を目指すとき、専門学校や大学などで専門教育を受けていなければ就職は難しくなります。完全未経験での就職を考えるならば、事務職等で鍼灸師関連の業界に就職して、夜間の養成学校に通いながら資格取得を目指すといった対応も必要でしょう。

鍼灸師就労者のおおよその給与相場

気になる鍼灸師の給与については、2019年のハローワーク求人票データを元に求人賃金を紹介します。月額での全国平均額は「25.1万円」であり、いくつか抜粋した各都道府県の求人賃金の月額は以下のとおりです。

▽主な各都道府県の鍼灸師の求人賃金(月額)
・北海道:17.9 ~ 24.1万円
・宮城県:18.4 ~ 26.8万円
・東京都:22.4 ~ 28.9万円
・神奈川県:22.8 ~ 29.8万円
・愛知県:22.0 ~ 31.6万円
・京都府:21.9 ~ 31.8万円
・大阪府:22.5 ~ 29.7万円
・兵庫県:20.5 ~ 28.7万円
・広島県:19.8 ~ 29.1万円
・福岡県:20.8 ~ 28.9万円
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト「はり師・きゅう師」より編集部調べ

求人のポジションはもちろん、大手グループ院や個人院などの違いで給与設定は大きく異なります。求人票から、「会社概要」「求人事業者」の情報や「勤務時間」などと突き合わせながら、給与については確認をしていきましょう。

鍼灸師の市場は?就労者数や求人倍率はどれくらい?

鍼灸師として一生働く、とすると、その業界の大きさや将来性は気になります。業界の拡大を表す就労者数の推移と求人倍率について確認していきましょう。

鍼灸師の就労者数

医療関係の事業所への就労者に関する統計データをまとめている厚生労働省の『衛生行政報告例(就業医療関係者)』では、鍼灸師の就労者数等について、はり師ときゅう師それぞれを紹介しています。

鍼灸師の人数とはり及びきゅう施術所数の推移
(出典=厚生労働省:『平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』より編集部にてグラフ作成)

鍼灸師の就労者数や事業所数は、2008年以降増加しており、2018年は就労者が12万人を超えて最大の数字を記録しています。

有効求人倍率は全国で大きな差はない

就労者がどんどん増えている鍼灸師ですが、気になる求人倍率はどうなのでしょうか。全国ハローワークの鍼灸師(あん摩マッサージ師を含む)有効求人倍率は「1.27」です。鍼灸師1人に対して、求人数は1.27ある、ということで、就職において競争率は高いと考えましょう。

この有効求人倍率について、都道府県の中からいくつかピックアップして紹介しますが、倍率に大きな差はなく、なかにはより低い求人倍率を示す県もあります。勤務地についても検討することが、就職で成功するポイントとなっているかもしれません。

▽主な各都道府県の鍼灸師の有効求人倍率
・北海道:1.27
・宮城県:1.69
・東京都:1.66
・神奈川県:0.98
・愛知県:1.44
・京都府:1.45
・大阪府:1.54
・兵庫県:0.99
・広島県:0.80
・福岡県:1.24
出典:厚生労働省 職業情報提供サイトより編集部調べ

各都道府県内の地域でも異なるものの、1倍を切っている県も見られ、求人が少ないことを示しています。鍼灸師として働くとき、地元にこだわると就職が難しくなることもありうること、理解しておきましょう。

鍼灸師就職者の学歴は?

厚生労働省の『日本版O-NET』では、鍼灸師の就労者を対象としたアンケート調査を行っており、学歴のおおよそのデータが公開されています。

鍼灸師就労者の学歴(参考値)
(画像=鍼灸師就労者の学歴(参考値))
(出典=厚生労働省:『職業情報提供サイト(日本版O-NET)』のデータから編集部にてグラフ作成)

鍼灸師就労者の学歴は、専門学校卒が73.1%と圧倒的に多く、大卒者が46.3%と続きます。

鍼灸師になるには、はり師・きゅう師試験で合格し、国家資格を取得する必要があります。この国家試験を受験するには、認定された養成学校等での3年以上の修学義務があるため、資格取得者や受験資格を持つ専門学校卒、または大卒の求職者が多いと考えられます。

実際の求人票をチェック!鍼灸師の求人情報

鍼灸師として就職するためには、求人を出している事業所や鍼灸院を見つける必要があります。鍼灸師の求人情報が発行されているサービスや、鍼灸師の求人票には、確認すべきポイントがいくつかあります。

鍼灸師の求人情報はどこで入手できる?

はり師、きゅう師の国家資格取得者のための求人情報は、下記のような媒体で確認できます。

・ネットの求人検索サイト
・駅やコンビニで手に入る求人情報掲載誌
・鍼灸院やマッサージ店などのホームページ
・ハローワーク

求人情報が掲載されていても、すでにほかの応募者が内定し、選考活動が終了していることもあります。興味のある求人がある場合は、採用活動が続いているどうかを求人元に確認しましょう。

特に自社のホームページの求人情報を更新していない場合もあるため、個人院のように不定期で採用募集をしている求人元には、電話などで直接確認するようにしましょう。

鍼灸師の求人票の解説とチェックポイント

鍼灸師として働きたい場合は、求人票の以下のポイントをしっかりと確認しましょう。

(1)そもそも求人への応募資格があるのか
(2)仕事内容は自分の希望する内容か
(3)就労条件(勤務時間や給与待遇、休日など)は希望に近いか
(4)選考のプロセスはどうなっているか

自分の希望をすべて満たす求人はほぼありませんので、ある程度は妥協する部分も必要になってきます。

実際に求人票のサンプルを見ながら、確認すべきポイントを解説します。

求人票
(画像=鍼灸師の求人票例)

求人票のチェックポイント1:会社情報で業態や社風をチェックする

まずは求人元の企業情報を確認します。このサンプルでは「会社概要」として求人元の情報が記載されています。業態や会社名などが記載されています。書類によっては、「求人者」や「求人事業者名」、ハローワークの求人票では「会社の情報」と書かれている欄を注目します。

鍼灸師の求人は「鍼灸院」や「整骨院」などが多いですが、マッサージ店などもあります。また、複数の店舗を運営している大手グループ院もあれば、地域密着型の個人院など、規模も大小さまざまです。

また「会社の特徴」欄には、患者に対する接し方や企業理念なども記載されており、求人元の事業所の雰囲気も確認できます。

求人票のチェックポイント2:雇用形態や勤務地を確認する

次は「雇用」(2)に関する項目を確認します。ハローワークの求人票では「仕事の内容等」欄にある「雇用形態」と「雇用期間」となります。正社員や有期雇用(パートなど)など、求人の雇用形態が記載されています。

大手グループ院など、複数店舗を経営する企業に就職した場合は、「勤務地」についての確認も重要です。ハローワークの求人票では「就業場所」として記載されていますのでチェックしましょう。

希望の勤務地であっても、グループ院では将来的に別の地域へ転勤する可能性もあります。転勤の有無が求人票に記載されていない場合は、直接採用担当に問い合わせることも重要です。

求人票のチェックポイント3:鍼灸師としての業務内容を確認する

「業務内容」の項目(3)には、鍼灸師として採用された場合に、自分が担当する仕事について記載されています。ハローワークの求人票では「仕事の内容」欄を確認しましょう。針やお灸を用いた施術やカウンセリング業務などの患者対応だけでなく、事務作業などを行う場合もあります。

求人票のチェックポイント4:応募資格にある国家資格の有無についてチェックする

求人元が求める応募資格を確認します。(4)の「応募資格」欄、ハローワークの求人票では「仕事の内容等」欄の「必要な免許・資格」をチェックしましょう。鍼灸師の求人では、応募資格者は以下の2つに限られる場合がほとんどです。

・はり師及びきゅう師の国家資格保有者
・国家資格は未取得だが養成学校で修学済み

はり師、きゅう師の資格保有者の場合は、勤務経験者限定求人を除けば、ほとんどの求人に応募可能です。

鍼灸師関連の資格を持っていなくても、受験資格を持っている場合は、入社後に資格取得サポートがある求人に応募するという方法があります。完全未経験の場合は、そもそも養成学校に通う必要があるため、事前に求人元への確認が必須です。

求人票のチェックポイント5:採用試験の流れと職場見学の有無を確認する

「選考プロセス」(5)には、採用試験の内容や選考の流れについて記載されています。ハローワークの求人票では「選考等」を確認します。

鍼灸師として働く場合、職場となる鍼灸院等を、事前もしくは面接時に見学できることがほとんどです。今後働く可能性がある職場ですので、必ず見学を申し入れて、不明点や気になる点については質問しましょう。見学をしても職場の人間関係などを把握することは難しいですが、雰囲気や設備の充実度などは確認できます。

求人票のチェックポイント6:労働条件や給与待遇が最低基準を満たすかチェックする

労働条件の中でも特にチェックすべきなのは、勤務時間と休日・休暇、給与待遇です。サンプルの(6)、ハローワークの求人票では「労働条件等」欄を確認しましょう。シフト勤務制の有無、休日の営業があるかで休日の取得方法も変わります。「勤務時間」や「就業時間」も忘れずにチェックします。

「給与」(ハローワークの求人票では「賃金」)については、求人元のモデル年収を記載している場合もあるので、忘れずにチェックしましょう。

福利厚生を重視する人もいるでしょうが、これは大手グループ院と個人院で大きな違いがあります。求人票をたくさん見比べて、「会社の概要」や「会社の情報」欄と合わせながら、その違いを確認するとよいでしょう。

求人票のチェックポイント7:研修や独立支援などのスキルアップ支援の有無を確認する

特記事項(7)の項目として、研修制度や開業支援等について記載されていることがあります。ハローワークの求人票では「備考」や「求人条件特記事項」欄を確認しましょう。

このチェックポイントの内容は、鍼灸師として今後どのようなキャリアを描きたいかで、重要度が変わります。特記事項は、意外に重要な内容が記載されているので、求人票はすみずみまでチェックするようにしましょう。また、求める人材像について記載している求人票もあるので、職場の雰囲気を予測することもできます。

決して多くはない鍼灸師の求人。求人票はしっかり確認しよう

鍼灸師は、就労者数が12万人を超えており、柔道整復師と比べると求人数は決して多くはありません。

就職に関していえば、自分の他にもそれだけたくさんのライバルがいることを前提に、資格取得前からも求人チェックなどの就職活動を行うようにしましょう。

鍼灸師の求人票をチェックするときは、応募資格をまず確認してスクリーニングをしたあと、事業規模や業務内容、待遇などの細かいチェックを行いましょう。

鍼灸師としてスキルアップや将来的な独立開業を目指すならば、研修サポートなどを明記している求人票から優先的に詳細確認をしてみましょう。

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