柔道整復師の仕事内容は?就職先によって異なる仕事内容を深掘り
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ひとくちに柔道整復師といっても、就職先によって仕事の内容は変わります。リハビリが主なのか、骨折後の施術などが主なのか……。仕事内容を知ることで、自分が目指す柔道整復師像を実現するためには、どのようなところに就職するべきかが見えてくるでしょう。柔道整復師の仕事内容を就職先別で比較します。

目次

  1. 【役割別】柔道整復師の仕事内容
  2. 柔道整復師が就職できるところは?
  3. 【就職先別】柔道整復師の収入・待遇の違い
  4. 開業すると仕事内容や年収は変わる?
  5. まとめ:どこでどうやって働く?資格取得後の仕事を具体的に想像してみよう

【役割別】柔道整復師の仕事内容

柔道整復師は就職先によって役割が異なるため、仕事内容にも違いがあります。はじめに、柔道整復師の役割別の仕事内容について見ていきましょう。

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治療家として働く柔道整復師の仕事内容

接骨院や整骨院などで治療家として働く柔道整復師の主な業務は、患者様のケガや不調を治療するための施術です。

問診でどこが痛むのか、どのようにしてケガをしてしまったのかなど患者様から話を聞き出し、必要な施術を行います。

柔道整復師の施術には、大きく分けて「整復法」「固定法」「後療法」の3つがあります。整復法は、脱臼などの治療に用いられる手技のことです。固定法は、骨折した部分をギプスなどで固定して回復を促す施術を指します。後療法は、刺激を与えて患部の回復を早める手法です。

後療法には、手技による刺激だけでなく、電気、光、熱などを使った物理療法、運動によって機能回復を促す運動療法の3つがあります。

整骨院や接骨院で働く柔道整復師は、これらの技術を用いて患者様の治療にあたります。

柔道整復師が行うリハビリ(機能訓練)の内容

整形外科や介護施設で働く柔道整復師は、医師の指示に従って各患者様に必要な機能訓練を行います。 機能訓練とリハビリは同一視されがちですが、厳密には違いがあります。リハビリは「医師の指示にもとづいて理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が行うもの」です。

柔道整復師の資格を取得すると、「機能訓練指導員」として業務にあたることができます。機能訓練指導員は、麻痺や機能障害のある方に訓練や指導を行う専門家です。介護施設に就職した場合は、レクリエーションや送迎といった介護スタッフに近い業務を行うこともあります。

スポーツトレーナーの仕事内容

柔道整復師の資格を持ちながらスポーツトレーナーとして働く場合は、スポーツチームのコーチや医師と連携して選手のコンディションの調整を行います。

また、試合や練習中に選手がケガをしてしまった際の応急処置や医療機関への搬送、競技復帰に向けた後治療、トレーニングなども行います。さらに、ケガの予防などを目的に、選手に指導することもあります。

柔道整復師が就職できるところは?

このように、柔道整復師が持つ資格や技術はさまざまな場で生かせます。次に、柔道整復師は具体的にどのような職場に就職できるのか説明します。

柔道整復師の就職先1:整骨院・接骨院

柔道整復師の就職先としてポピュラーなのが、整骨院・接骨院です。整骨院や接骨院では、ケガや慢性的な痛みのある患者様の治療にあたります。整骨院・接骨院には大きく分けて独立した柔道整復師が経営している個人院と、グループ院経営のものがあります。

個人が経営している整骨院・接骨院では、必要最低限のスタッフで運営していることも少なくありません。人手が足りないことから、雑務も含め施術以外のさまざまな業務にもあたる可能性はありますが、いいかえれば早期から多岐にわたる業務に関わることができます。

多店舗展開しているグループ院では、豊富な研修制度が用意されており、段階的に知識やスキルを学ぶことができます。また、グループ内での勉強会などで、最新の技術や知識を身につけられる機会も比較的多くあります。

柔道整復師の就職先2:病院・整形外科クリニック

整形外科で機能訓練指導員として働く柔道整復師も多くいます。柔道整復師の有資格者は、医師の指示がなくとも治療にあたれます。なお、病院・整形外科クリニックに就職した場合、医師の指導のもと、患者様の機能維持・回復に努めることになります。

柔道整復師の就職先3:介護施設

介護施設で働く柔道整復師は、主に機能訓練指導員として利用者の体の機能維持・回復のために働きます。

柔道整復師が持つ体の仕組みや機能についての深い知識を用いて、それぞれの症状にあった手法を選び、施術を行います。

柔道整復師の就職先4:スポーツジム、スポーツチーム

スポーツトレーナーとして働きたい柔道整復師は、スポーツジムやスポーツチームの専属トレーナーとして就職が可能です。

スポーツトレーナーといえば、以前はスポーツチームに就職するのが一般的でした。近年では健康意識への高まりを受けて、スポーツジムにトレーナーとして就職する柔道整復師も増えているようです。

なお、プロスポーツチームなどで働く際は、厳密には就職ではなく、業務委託契約を結んだうえで所属するケースが大半です。

【就職先別】柔道整復師の収入・待遇の違い

同じ柔道整復師でも、職場が違えば収入や待遇にも違いが出ます。どのような点が異なるのか。いくつかの求人情報をピックアップして比較します。

整骨院・接骨院

整骨院や接骨院で働く場合、就職先によって収入も待遇も大きく異なります。そこで、2021年8月31日現在、インターネット上で公開されている複数の求人サイトから、整骨院の求人の給与・待遇を調査してみました。

▽複数の求人サイトからみた柔道整復師の整骨院における給与・待遇例

A院 B院 C院
月給 22万円~25万円
ボーナス年2回
25万円(みなし残業代含む)+歩合 25万円(みなし残業代含む)
休日 ・シフト制の週休2日制
・春・夏、年末年始休暇あり
・水曜・日曜・祝日休み
・夏季・年末年始休暇3日間休み
・年間休日130日
(有給休暇含む)
・週休2日は相談の上
・年末年始休暇5日
・夏季休暇あり
その他 ・年1回の昇級あり
・交通費支給
・残業代支給(みなし残業なし)
・残業月10時間以下
・毎月研修あり
・交通費支給
・残業月20時間程度
・社内研修制度あり、社外研修への参加補助あり
交通費支給

表はあくまで一例ですが、基本給にみなし残業代が含まれている院と含まれていない院があります。みなし残業とは、1か月で発生するであろう、おおよその残業時間のことです。みなし残業代含むとは、一定時間分のみなし残業分の賃金を基本給のなかにあらかじめ組み込んで支払うことを指します。

たとえば、基本給18万円+みなし残業代4万円=月給22万円、といったようなかたちになり、みなし残業代を含む給与体系の場合は、「毎月、一定時間の残業がある」と考えていいでしょう。なお、その月の実残業時間がみなし残業時間を下回った場合でも、残業しなかった時給分が給与から差し引かれることはありません。

B院は基本給に歩合も上乗せされるケースです。経験を積み患者様から指名を受けるような施術者になれば、月給50万円を超えることもあるようです。

交通費については3つの院ともに支給しています。休日日数や勤務態勢もシフト制であったり、固定の曜日を休日としていたりとさまざまです。このあたりは治療院の経営方針や就業規則、福利厚生制度などによって異なります。

病院・整形外科クリニック

病院・整形外科クリニックに就職する場合、収入や待遇はどうなるのでしょうか。以下の表も、2021年8月31日現在、インターネット上で公開されている複数の求人サイトから、病院が募集していた柔道整復師の給与・待遇を調べたものです。

▽複数の求人サイトからみた柔道整復師の病院における給与・待遇例

A医院 B医院 C医院
月給 21.5万円~ 21~23万円 23.5万円~
休日 ・月10日公休
・年間休日119日
・年末年始休暇あり
・変形労働時間制
・年間休日110日
・年末年始休暇あり
・土日祝日休み
・年間休日120日以上
・GW、夏季、年末年始休暇あり
その他 ・残業月20時間程度
・交通費支給
・住宅手当
・家族手当
・残業月10時間程度
・交通費支給
・教育研修制度あり
・残業月10時間程度
・教育研修制度あり
・資格取得支援制度あり

病院の場合、治療院のようにみなし残業を想定しているところは少ないようです。その場合、月で発生した残業時間分の残業代が支給されることになります。また、年間の休日数も多いことから、労働環境は安定していることが予想されます。月給もほぼ横並びで差がありません。

住宅手当や家族手当などを支給している病院もあり、福利厚生制度の充実度は治療院を優るところも多いと思われます。

介護施設

介護施設には複数の種類があります。なかでも柔道整復師の求人が多いのがデイサービスです。ここでは、2021年8月31日現在、インターネット上で公開されている複数の求人サイトから、デイサービスを提供する3つの施設の給与等を調べてみました。

▽複数の求人サイトからみた柔道整復師の介護施設における給与・待遇例

A施設 B施設 C施設
月給 23.5~27.9万円 25~30万円 20万~
休日 ・変形労働時間制
・年間休日124日
・夏季休暇あり
・完全週休二日制
・夏季・年末年始休暇
・長期休暇
・特別休暇
・土日祝日休み
・夏季・年末年始休暇
その他 ・残業月5時間程度
・交通費支給
・家族手当
・住宅手当
・資格手当
・食事手当
・夜勤手当
・財形貯蓄制度
・残業月10時間程度
・交通費支給
・資格手当
・昇給あり
・研修制度あり
・副業OK
・交通費支給
・住宅手当
・昇給あり
・治療賠償保険完備

デイサービスでは月給の高い求人が比較的多く、病院同様、みなし残業を想定しているところは少ない傾向にあります。

残業時間も少なく、各種手当てが充実している求人もありました。週休二日制の求人も多く、しっかり休めて給与も高い、待遇のいい就職先といえそうです。

スポーツジム

スポーツジムでは、スポーツトレーナーとしてだけでなく、ジム併設の治療院で働くケースもあります。2021年8月31日現在、インターネット上で公開されている複数の求人サイトから調査した、柔道整復師のスポーツジムにおける給与・待遇は以下のようなものでした。

▽複数の求人サイトからみた柔道整復師のスポーツジムにおける給与・待遇例

A施設 B施設 C施設
月給 20万円~+歩合給 25万円~ 22万円+歩合
休日 ・シフト制
・月6~8日休
・夏季・年末年始休暇あり
・完全週二日制
・土日祝日休み
・シフト制
・月7日休
・長期休暇可能
その他 ・残業時間不明
・交通費支給
・独立支援制度あり
・研修制度あり
・治療賠償保険あり
・残業時間不明
・勉強会あり
・開業支援制度あり
・副業OK
・施術者保険加入
・フィットネスクラブ利用優遇
・残業時間不明
・交通費支給
・昇給あり
・独立支援制度あり

スポーツジムやトレーニング施設の求人では、その他の就職先に比べて休日が少ない傾向にあるようです。残業時間についてはいずれも不明でした。3つの施設に共通しているのは、独立開業を支援する制度があることです。

将来的にスポーツジムの設立を考えている方には、必要なことを学びながら働ける就職先となるでしょう。

開業すると仕事内容や年収は変わる?

柔道整復師は、どこかに勤めるだけでなく自分で治療院を開設することも可能です。なぜなら、柔道整復師は独立開業ができる「開業権」が与えられている仕事だからです。では、治療院に就職するのと開業したのとでは、どのような違いが生まれるのでしょうか。以下で詳しく見ていきます。

開業したあとの1日の流れ

誰も雇わず1人で治療院を切り盛りする場合、まずは院内の清掃や備品のチェックから仕事が始まります。営業中は患者様への対応、会計のための計算なども行います。空き時間があれば、患者様の情報を整理してパソコンに入力する作業なども発生します。

営業時間終了後は、院内を片付けて1日の売上に間違いがないかチェックし、経理業務を行います。時折、経営は順調か、今後どのような院にしていきたいのか、そのためには何が必要かなど経営戦略の検討に時間を設ける必要があるでしょう。

最近では、治療院の宣伝のために空き時間にSNS投稿をして、集客対策を行う個人院も珍しくありません。

開業後の年収

開業した後は、「売上-経費」が基本的に手元に残るお金になります。たとえば月商100万円で毎 月の必要経費が平均80万円だとすると、残金は20万円です。必要経費の考え方は企業によって多少異なりますが、家賃、水道光熱費、広告費、消耗品費などが該当します。そこに自身やスタッフの人件費も加わります。つまり、売上から出て行くお金を引いた額が手元に残るお金です。開業の際に金融機関から借り入れをした場合は、月々の返済も発生しますので、その分も計算に入れておきましょう。

さらに内部留保として残しておくお金や、将来の設備投資に回すお金などもある程度必要になります。

個人事業主で開業したとしても、経営者であることに変わりありません。また、利益をどのように使うかは経営手腕が問われるところです。経営が軌道に乗るまでは紆余曲折があるかもしれませんが、売上が伸びれば伸びるほど自身が手にできる金額も大きくなっていくはずです。開業後の年収がいくらくらいを目指せるとは一概にいえませんが、絶え間なく患者様が訪れるような人気の治療院になれば、社員として治療院に勤めるよりも手取りは大きく増えるでしょう。

開業後に気をつけたいこと

開業後は院の宣伝も自分で行うことになります。看板やホームページ、チラシなどをつくる際には、広告関連の規定に気をつけましょう。治療院で提供するサービスは、医療類似行為にあたります。そして、整骨院・接骨院には広告規制があるため、法律で定められている事項以外の広告宣伝はできません。自身でチラシを作成する場合などは広告違反とならないよう、細心の注意が必要です。

広告宣伝のプロである広告代理店に依頼するのも手ですが、多額の広告宣伝費が発生するので、院の売上と宣伝効果をよく検討してから発注するようにしましょう。

柔道整復師が開業するメリット

開業のメリットは、働き方や院の方針などをすべて自分で決められる点にあります。柔道整復師のメイン業務である患者様への施術から、経営方針の策定、日常的に発生する雑務まですべて1人でやらなければいけない大変さがある一方で、誰に指図されることもなく自分の責任ですべてを進められ、成果も自分次第であるという面白さもあります。

まとめ:どこでどうやって働く?資格取得後の仕事を具体的に想像してみよう

柔道整復師になったからといって、必ず治療院に就職しなければならないわけではありません。介護施設やスポーツジム、病院など勤務先は多様化しています。また、勤め先によって仕事内容にも幅がありますので、よく確認するようにしましょう。また、柔道整復師は開業権がある仕事ですので、経験を積めば、将来的な独立開業も選択肢に入ってくるでしょう。

どのようにして働きたいのか、今から想像しキャリアプランを練ってみましょう。

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