太田凌平さん
(写真=森口新太郎撮影)

連載「若手に聞く『治療家の仕事のやりがい』」では、若手の柔道整復師・鍼灸師にインタビューし、治療家を志すことにしたきっかけや仕事のやりがい、新人時代に直面した困難について伺います。

第1回で取り上げるのは元野球少年の柔道整復師、太田凌平さん。子供時代にケガをしたことをきっかけに柔道整復師を目指すようになった太田さんですが、新人時代は人見知りで接客に苦労したこともあったそうです。

今では「太田先生にみてほしい」と遠方からの患者さんにも慕われる太田さんは、どのように就職先を選び、治療家としての困難を乗り越えていったのでしょうか。(撮影/森口新太郎)

太田凌平さん

太田凌平さん

東京都出身。高校の野球部の先輩に勧められ、柔道整復師を目指すことに。帝京平成大学卒業後の2018年にクラシオンに入社。2020年4月より本八幡南口接骨院に勤務している。


少年時代のケガをきっかけに柔道整復師に憧れ

――現在のお仕事について教えてください。

千葉県市川市にある本八幡南口接骨院で柔道整復師として働いています。マッサージ、鍼治療、骨盤矯正、姿勢矯正など、患者さま一人ひとり合わせて幅広い治療を提供しています。

――1日の仕事の流れについて簡単にご説明ください。

朝は9時20分くらいに出社し、開院の準備をします。そして朝礼で他のスタッフと連絡事項を共有した後、10時に開院して患者さまをお迎えし、診療を行います。

お昼休憩は13時から。ご飯を食べたら、他のスタッフと談笑したり仮眠を取ったりと自由に過ごします。体力を使う仕事なので休息はとても重要。しっかりと休むように心がけています。

午後の診療は15時から始まり最終受付の21時まで続きます。最後の患者さまをお送りした後、後片付けなど閉院の作業をします。スタッフ間で明日の連絡事項を共有したら、1日の仕事は終了です。

――太田さんが柔道整復師を目指したきっかけは?

小学校の頃に野球をやっていて、肩が痛くなったことがありました。そこで母親が通っていた整骨院で治療をしてもらったことが整骨院・接骨院の存在を意識した初めての出来事です。

その後、小学5年生の時に足を骨折したことがありました。一時は入院するほどの大ケガで、退院後、リハビリのために整骨院に通いました。

ケガの後遺症でひざが痛く、長時間の正座ができないほどでしたが、整骨院の先生からマッサージや電気治療を受けながらリハビリに励むうちに、だんだんと痛みが取れていき、正座もできるようになりました。そのことにとても感激したことを覚えています。

そういった経験をしたことで、柔道整復師の仕事に対して憧れを抱くようになったのだと思います。

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患者さまとの会話で悩んだ新人時代

太田凌平さん
(写真=森口新太郎撮影)

――その後、どのようにして柔道整復師の道に進んだのでしょうか?

高校まで野球を続け、卒業後の進路をどうしようかと悩んでいる時に野球部の先輩に相談したことがありました。その時に柔道整復師の学校があることを教えてもらい、小学生時代に抱いた憧れを思い出し、この道に進もうと決意しました。

大学と専門学校とどちらにしようかと迷ったのですが、時間をかけて勉強した方が実技をしっかりと習得できると考え、大学を選びました。

大学4年の終わり頃、国家試験に受かってから就職活動を始めました。企業説明会に参加したり、何カ所かの接骨院・整骨院を見学したりして、いろいろと検討した結果、クラシオンに応募して採用されました。

――就職先はどのような視点で選んだのでしょうか。

成長できる環境があるところを選びました。柔道整復師は技術職なので、手技や施術などの技術を常に磨き続けることが重要です。そのためには、勉強会や研修など教育制度が整っていることに加え、日々の仕事においても施術に集中できる環境があることが欠かせません。そういった視点で考えると、今の会社が最適だと思いました。

――実際に入社して働いてみて、どのような印象を受けましたか?

研修後、最初に配属された院では、1日に来院される患者さまの数がかなり多く驚いたことを覚えています。

そしてたくさんの患者さまがいらっしゃるなかでも、スタッフは一人ひとりの患者さまと向き合って、積極的にコミュニケーションを取りながら治療をしていました。患者さまのお話をよく聞き、治療計画・方針についてしっかりとご説明することはもちろん、治療とは関係のないプライベートな会話や雑談などもして、和気あいあいとした雰囲気でした。患者さまとスタッフの距離がとても近いことに驚きました。

太田凌平さん

――仕事を始めたばかりの新人時代にはどんなことで苦労しましたか?

「患者さまと積極的にお話をする」というのが当時の院の方針で、新人の私にとっては、それがなかなか難しかったのを覚えています。院長からは、「手技を行っている約10分間は、身体の話でもいいし世間話でもいいから、とにかく話を続けるように」と言われていました。

患者さまと会話をすることで、身体のお悩みをヒアリングできたり、患者さまに自分のことを覚えてもらえたりするんです。

しかし、私はもともと人見知りする性格で、あまりしゃべる方ではありません。世間話をしようにも何を話していいか話題が見つからなくて。

同時期に同じ院に配属になったスタッフは他に3人いて、そのうちの2人は中途入社なので、手技はもちろん患者さまに対する説明やコミュニケーションもうまい。もう1人は私と同じ新卒でしたが、関西出身だからかしゃべりがとても達者。私だけが患者さまとうまくコミュニケーションをとれずに、劣等感を覚えたこともありました。

――その課題をどのように克服していったのでしょうか。

身体のこと、治療のことに関してはとにかく勉強するしかありません。研修や勉強会を受けたり、すき間時間に自主的に勉強したり、わからないことは先輩に聞いたりするうちに、自分の中での理解が深まって、患者さまに対してもだんだんスムーズに説明できるようになっていきました。

治療に関すること以外の会話については、先輩の話している様子を聞いてまねをしたり、先輩と患者さまの会話の内容を覚えておいて、次にその患者さまが来院された時に同じ話題を振ってみたりと、いろいろ工夫しました。そうこうしていくうちにだんだん慣れていき、今では初めて担当する患者さまとも臆せずに話せるようになりました。やはり慣れが大事なのだと思います。

「先生の治療を受けたい」という患者さまも

太田凌平さん
(写真=森口新太郎撮影)

――仕事のなかで、どのようなことにやりがいを感じていますか?

患者さまの症状が改善し、「痛みのせいで今までできなかったことが、治療のおかげでできるようになった」「夜ぐっすり眠れるようになった。ありがとう」などと感謝の言葉をかけていただいた時には、とてもやりがいを感じます。

私も小学生の頃に経験をしていますが、何をするにも痛みがあると日常生活を送るのがつらくなります。患者さまの痛みや不自由を治療によって改善してあげることができ、日常生活を取り戻すお手伝いができることが、この仕事の素晴らしいところだと感じます。

――印象に残っている患者さまとのやり取りはありますか?

私がたまたま別の院にお手伝いに行った時に整体や矯正を行い、とても満足してくださった患者さまがいました。数カ月後くらいにその患者さまが、「先生の治療を受けたいから来ました」と本八幡南口接骨院にいらっしゃいました。わざわざ私がいる院を探して来てくださったのです。

当院の方針として本来ならスタッフを指名できないのですが、その患者さまに対しては特別に私が治療に当たっています。私の治療に満足していただけたことがとてもうれしかったです。

――仕事をするうえで心がけていることは?

明るく元気に患者さまと接することですね。患者さまに明るい気分になっていただけるように、元気にあいさつすることはもちろん、ハキハキとした話し方などを心がけています。

――今後の目標を教えてください。

周りの先生に聞くと、院長になりたいとか、開業したいといった大きな目標を持っている人が多いのですが、実は私にそのような目標はありません。ただ、もっと自分の技術を磨き、お客様に満足していただき、毎日楽しく働いていきたいという思いを持っています。

周りのスタッフや後輩スタッフにも「のようにモチベーションを高く保って楽しく働きたい」と思ってもらえるような、影響を与えられる人になりたいですね。

また患者さまに対しては、日常生活での提案もできるような幅広い知識を身に付けたいです。患者さまにとっては、私たちが治療に当たっている時間よりも、日常生活を送っている時間の方が圧倒的に長いわけです。その日常生活のなかで、いかに痛みや不自由を感じずに快適に過ごしていただくかがとても大事。

たとえば腰痛を抱えている患者さまに対してコルセットの正しい使い方をご説明して、実践してもらえば、日常生活のなかでも快適に過ごしていただけますよね。来院時の治療と、患者さまのセルフケア、両方を合わせたサポートをすることで、もっともっと患者さまに喜んでいただきたいですね。

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