ジャパン模試の問題作成委員会のメンバーで歯科医師の山本浩嗣さん
(画像=ジャパン模試の問題作成委員会のメンバーで歯科医師の山本浩嗣さん)

柔道整復師・鍼灸師の国家試験まで残すところ2ヶ月余り。受験を控える学生の皆さんの中には、「勉強が思うように進まない」「1年生の頃からコツコツやっていれば」と焦りを感じている人もいるでしょう。そこで、国試対策予備校のジャパン国試合格(東京都港区)の人気講師であり、ジャパン模試の問題作成委員会のメンバーでもある歯科医師の山本浩嗣さんに、近年の出題傾向や効率的な勉強法について聞きました。上下の2回に分けてお届けします。

目次

  1. 国家試験委員が交代すると問題も変わる?
  2. 丸暗記はNG!図を書けるまで理解しよう

国家試験委員が交代すると問題も変わる?

――国家試験(以下、国試)対策の前に、まずジャパン模試についてお聞きしたいと思います。山本先生は模試の問題作成委員会のメンバーですが、具体的にどのように問題を作成しているのでしょうか。

ジャパン模試は柔整版と鍼灸版の二つがあり、過去10年にわたり国試対策を指導してきたジャパン国試合格の講師陣が中心になって問題を作成しています。柔整版の問題作成委員会は33人と、実際の国試の試験委員に近い規模となっています。

模試問題は、国試で過去に出題された問題の統計学データや、試験委員の専門分野の特徴などを参考に作成していますが、中でも重要なのはやはりここ数年間に出題された問題です。通常、国試の試験委員の任期は2年で、2期務めます。委員の交代に合わせて問題も徐々に変化しているのです。

国試の問題は、患者数が増えている病気など、近年の「トレンド」が反映される傾向があります。例えば、認知症の中で最も多くを占めるアルツハイマー病や、その原因物質の一つとされるアミロイドβに関する問題は出題が増えています。

また、日本人の死因と言えばかつては結核や脳血管疾患でしたが、1981年以降は悪性新生物(がん)がずっとトップとなっています。柔道整復師・鍼灸師が直接的に治療にあたることはないでしょうが、治療後のケアを行う機会は多いでしょう。こうした事情から、国試の問題にも高い頻度で入ってきています。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、2022年の国試ではウイルスや細菌に関する問題も出題されるかもしれません。柔整・鍼灸の国試でまだ出題されたことはありませんが、2021年2月に行われた第110回の看護師の国試では、DNAウイルスとRNAウイルスの違いを問う問題が出題されました。柔整・鍼灸は看護師と同じ厚労省の所管ですから、ある程度横並びになる傾向があります。ですから、ウイルスと細菌と真菌(カビ)の違いは必ず覚えておくよう学生に指導しています。

――ジャパン模試が国試対策として優れている点、こだわっている点は何でしょうか。

問題の内容が本番に近いということはもちろんですが、本番さながらの環境で受験できるのも大きなメリットです。柔整版では東京、大阪、名古屋、仙台の4都市、鍼灸版では仙台を除く3都市で実施しているのですが、いずれも実際の国家試験と同じ会場、同じ時間で行っています。本番特有の緊張感に慣れる良い練習になるでしょう。

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丸暗記はNG!図を書けるまで理解しよう

山本さんは歯科医師の国家試験の試験委員を2006~12年の6年間務めた経験も持つ
(画像=山本さんは歯科医師の国家試験の試験委員を2006~12年の6年間務めた経験も持つ)

――ではここから国試対策について伺いたいと思います。柔道整復師・鍼灸師を目指す学生の皆さんから「勉強の仕方が分からない」といった悩みをよく聞くのですが、効率的な勉強法をアドバイスいただけますか。

こういう言い方は学生に響かないかもしれませんが、やっぱり勉強の成果は勉強時間に比例すると思います。1時間の授業を受けたら、その3倍は復習しないと身につかないですね。

その際、注意したいことがあります。それは、教科書やスマホ、パソコンを眺めているだけでは絶対に覚えられないということです。こうした勉強法でも、一度学習した問題ならマークシートにどうにか正解の丸をつけることもできるでしょう。しかし、問題が少しでも変わると対応できない人が多いですね。

大事なのは、実際に手を動かしてノートに授業の内容をまとめ、声に出して覚えることです。お坊さんがお経を覚える場合、筆を使って写経し、声に出して読経しますが、それと同じように「運動」を介した方が記憶の定着率が上がります。

また、「学問に王道なし」と言いますが、基本を疎かにしては身につくものも身につきません。多くの専門学校では、共通科目として1年生で解剖学と生理学を勉強し、2年生で病理学を学びます。基本である解剖・生理をちゃんと理解せずに病理へ進むのは難しいと思います。

にもかかわらず、解剖・生理を単なる丸暗記で済ませようとする学生が多い。これでは基本をちゃんと理解したとは言えません。例えば、肺循環(小循環)だと、血液が心臓から肺動脈や肺、肺静脈を経て再び心臓に戻ってきますが、一連の流れを大循環と関連して図示できるようにならなければなりません。

個々の病名を覚えることも大事ですが、その前提となる基本知識と有機的に結びついている必要があります。逆を言えば、基礎さえしっかりしていれば、例えば循環障害がどういったメカニズムで起きるかを自然と理解もできるでしょう。

――国試はライセンスではありますが、患者様に説明できるようになるためにも、合格だけを目的にするのではなく、きちんと血肉になるよう勉強しなければならないというわけですね。

おっしゃる通りです。学生には「ライセンスの意味を考えよう」とよく伝えています。知識と技術を身につけるのは当然のことで、さらに言えば何よりマナーを持った人間でなければなりません。私は日本大学松戸歯学部で教授を務め、診療放射線技師や看護師の専門学校・准看護師学校でも講義を行ってきましたが、どこの学生にも必ずこのことは伝えるようにしています。質の低い資格者が患者さんに迷惑をかけるようなことがあってはなりません。 (下に続く

山本浩嗣(やまもと・ひろつぐ)
1976年 日本大学大学院歯学研究科修了
1992年 日本大学 教授
2004~2008年 NPO日本口腔病理学会 理事長
2012年 ジャパン国試合格 非常勤講師
2016年 日本大学 名誉教授

(撮影・竹田靖弘)

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